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チュオク(仮題)について
実は、かなり前から温めていた企画をついに発動してしまいました。 この下の記事、『チュオク(仮題)』は、ずっと書きたかった小説です。 ネタは、100%実話の本当の話。 簡単に言うと、あたしとオッパの小説です。 はいドン引きー しかし、お気付きと思いますが、あたしとオッパはタダの恋人じゃないからね。 何しろひとまわり以上(17歳)も年が離れていて、国籍も違って、しかもお互い超わがまま。 そんな2人が喧嘩ばっかりしながら、周囲の人々に支えられつつ、挙げ句の果てには結婚の約束までしちゃってんだから、こりゃおいしいネタ以外の何者でもない!と思いまして。 ちなみに小説を書く件に関しては、オッパに了承済み〜笑 最初はバカらしい話にしようと思ってたけど、書いているうちに、 『あれ・・・』 と思うような自分の感情と出会ったり、1年間の色んな出来事を少しずつひとつずつ思い出すうちに、急に泣けて来たりして、ただのバカバカしい話には出来そうにないなと。 そして綺麗な話にもならないと思うし、大体まとまりのある話になるとも思えません。 チュオク(仮題)は、私の一方的な愛情だったり、嫉妬だったり甘えだったり、プライドだったりするのかも知れない。 でも絶対に意味のあるものだと思います。 慣れきってしまった私たちを繋ぐもの、それは愛なのか絆なのか、ただの捨てられない現在も続く思い出なのか。 すべてと向き合って、少しずつ書いて行こうと思います。 そういう意味であたしは、愛のあとにくるものの主人公に似てる。 言葉というものを信じてないくせに、言葉を連ねることでしか感情をあわらせられない。 本当に大切なことは、簡単なことなのに。 これを書き終える時、 オッパを心から愛していると言えたら、嬉しいしいいなぁと思います。 チュオク(仮題)
JR桃谷駅の改札をぬけ、すぐ右にある階段の一番上に彼の姿を見つけた時、 あたしは懐かしさで胸がいっぱいになった。 薄汚い、カーキ色のダウンジャケット。 初めて手を繋いだ時、彼が着ていた服。 ちなみにジャスコで買ったやつ。 今、それを着て、彼は立っていた。 正確に言うと、懐かしいという感情ではなかったのかも知れない。 しかし、胸に沸き上がる感情に呼び名を付けるなら、“懐かしい”と言うのが一番近いと思った。 あたしの中の美しい思い出が、そこに存在していた。 まだ始まったばかりだったあの頃。 今より幼くて、ただ夢ばかり見ていたあの日。 寒い中、ずっと2人で歩いた。 歩きながら色んなことを話した。 ただそれだけで幸せだった。 優しいけれど、どこか疲れが見える笑顔。 階段を上り、彼の前に立つ。 『よう。』 あの頃と変わらない、冬の剛一の匂いがした。 匂いというのは不思議だ。 嗅いだだけで、思い出の情景すら浮かぶ。 あの日、手を繋いだ時に見上げた剛一の笑顔が胸をよぎる。 目の前にいるはずなのに、なぜか切なくなる。 あたしはそんな気持ちをなるべく表さないようにして、言った。 『ごめんごめん、待った?』 5分ほど待たせたことは承知の上、一応言っておく。 剛一はあたしを見下した目つきで、 『まぁ、いつものことやんけ!』 と言い捨てた。 コリアンタイムで時間にルーズなあたしに惚れた君が悪い。 『そのダウン、着て来たんや』 唐突にそう言うと、剛一はあまり興味なさそうに、 『あぁ、ほんまは茶色のコート着たかってんけどな、雨やったから汚れてもいい服着てきたんや。』 と答えた。 『その服、懐かしいなぁ』 と言うと、もっと関心なさそうに、 『あぁ・・・そやな。それより早く行こうや。今日は車で来てん。あぁ、寒い寒い』 そう言って、小走りに、白い煙をはく白い車へと走って行った。 1
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